人生を変えてくれる「年上の友人」:岸辺露伴に学ぶ開運の秘訣

岸辺露伴と淡島寒月の出会い

明治の文豪である岸辺露伴は中学卒業後、生家の商売を手伝いながら、暇を見つけて上野の図書館に通っていました。

その図書館で偶然出会ったのが、蔵書家の淡島寒月です。

淡島寒月は、自分の蔵書を露伴に喜んで貸し出しました。

そのおかげで露伴は、図書館にいる時だけでなく、店番の最中も読書ができるようになりました。

「毎日、ほとんど書物を手から離さずに読みつづけることができる。淡島氏の好意を、ただそれだけで感謝した」

露伴は『我が半生の奮闘』という本の中で、そう述べています。

年上の友人が自分の世界を広げてくれる

この「年上の友人」との出会いによって、露伴は運が開きました。

淡島寒月の蔵書が主に文芸書だったことで、露伴は文学に傾倒し、22歳の時に『露団々』『風流仏』を発表、その後も『五重塔』などで独自の作風で人気作家になっていきます。

文学に限らずスポーツやファッションなどあらゆるジャンルは奥が深く、時間的にも経済的にも余裕のない若い頃は、どうしても接触できる情報に限界があります。

そんな時に自分よりもその道に詳しく、蓄えられた知識や磨かれた思考を教授し、コレクションに触れさせてくれる年上の友人ができると、自分の世界が一気に広がります。

年上との関係というのは、当然自分が下になるので、つい面倒に感じて遠ざけてしまいがちですが、そのことによる損失は計り知れません。

逆にそうした制限を自分で作らなければ、読書好きな露伴が図書館で淡島寒月と出会ったように、同じ趣味を持つ者が集まる場所に出入りすることで、いずれ誰かと出会うことができます。