中村天風の『運命を拓く』では、「命に与えられた力の法則」を最初に知らなければならないとしています。
人としてこの世に生まれ、万物の霊長たる人間として人生を活きるために、第一に知らねばならぬことは、人間の“いのち”に、生まれながらに与えられた、活きる力に対する法則である。自分の命の中に与えられた、力の法則というものを、正しく理解して人生に活きる人は、限りない強さと、歓喜と、沈着と、平和とを、作ろうと思わなくても出来上がるようになっているのである。
(中村天風『運命を拓く』講談社P32)
「命」という言葉を含んだこの文章は、『運命を拓く』の序章冒頭に書かれており、そのことが中村天風の境地の高さを物語っています。
私たちは自分が生きていることを当たり前に感じているため、命について考えることも、「命」という言葉を使うこともほとんどありません。
その証拠に成功法則や自己啓発に関する書籍を読んでも、その大半は「成功」「目標」「計画」といった理屈に偏った言葉ばかりで語られていて、「命」という言葉の出る幕がありません。
つまり、「命」という言葉をどれだけ重視しているかが、一つのバロメーターになるということです。
こうしたバロメーターになる言葉は、「命」以外にも「魂」「心」があります。
「人生」「自分らしさ」「成功」について学ぼうしたときは、自分が学ぼうとしている人物が「命」「魂」「心」といった当たり前でありながら大切なものに、どれだけ向き合っているのかに注意すると、余計な回り道をしなくて済むようになります。