人生の大部分は、自分の思った通りや考えた通りになっています。いわゆる思考の現実化ですが、「誰がこんなつまらない人生を望んだんだよ?」と感じていても、私たちはその人生を自分で考えて、自分で作り出しています。たとえば、「金持ちになりたい」と思っているように見えて、実際は「金持ちになりたい、でも無理だろ?」という思考がその根底に流れていたりします。
なぜ、こうしたことが起きてしまうのか。それは私たちの思考のほとんどが、自分で考えたのではなく、何かに考えさせられたものだからです。私たちに考えさせるものは様々で、家族、学校、会社、国家、文化、制度、宗教、テクノロジー、時代などがあります。しかも、それが複雑に重なり合って、「こうすべきだ」「こう考えるべきだ」「こう生きるべきだ」と常に働きかけています。
たとえば現在であれば、「AIを使って何かをしなくてはいけない」と考えさせられがちです。そして、その思考が強迫観念的であるほど、誰かの思惑に乗せられて要らぬ出費や遠回りをしただけになる確率が高まります。これは「AIを使って何かに取り組むことが妥当かどうか」という範囲を超えた話です。
とはいえ、私たちの精神の作りからして、完全に独立して思考することはほとんど不可能です。しかし、自分が何にどんな影響を受けているのかを確かめて自覚していけば、思考習慣が改善され、その結果として生活や環境や待遇も改善されていきます。
私は以前、一人でビジネスを立ち上げて、28歳までに南青山に事務所と自宅を構えた若者の相談に乗っていたことがあります。彼の想いの強さは人一倍でした。その成長を間近で見ていた数年間に、彼が失敗や衝突や悩みを経験しなかったわけではありません。しかし、結果的に彼は自分が望んだ通りになりました。それは目先の行動や変化に振り回されず、「自分はこうなる」と強く考え続けた結果です。