年上の友人が、自分の世界を広げてくれる

明治の文豪である幸田露伴は14歳で入学した東京英学校を翌年に退学し、湯島聖堂にあった東京図書館に通うようになりました。そこで露伴は8歳年上の淡島寒月と出会い、親交を深めます。寒月は江戸文学に詳しく、当時の文壇で忘れられかけていた井原西鶴の作品を露伴に紹介しました。西鶴を愛読し、その影響を受けた露伴は、『露団々』を発表して文壇に登場しました。

露伴は寒月が亡くなった際に、「氏が蔵書に富んで、それを自分たちに貸し出すことを惜しまず、無邪気に趣味ある談話を交わすことを厭わなかったことは、今でも懐かしく思い出されてならない」と振り返っています。また、寒月と散歩しながら話している際に、「ここがおもしろい」と彼に指摘されたことで、それまで気づいていなかった物の見方に気づいたとも回想しています。

文学に限らずスポーツやファッションなどあらゆるジャンルは奥が深く、時間的にも経済的にも余裕のない若い頃は、情報量にどうしても限界があります。そんな時に自分よりもその道に詳しく、蓄えられた知識や磨かれた思考を共有し、コレクションに触れさせてくれる年上の友人ができると、自分の世界が一気に広がります。年上の友人は、いくら友人関係は対等なものだといっても、自分が下の立場になる部分があります。そのため、面倒に感じて遠ざけてしまいがちですが、そのことによる損失は小さくありません。