アメリカ建国の父と言われるベンジャミン・フランクリンは、ペンシルバニア植民議会で書記官再選に向けて活動していた際に、ある新人議員から再選に反対する長い演説を受けました。
再選を果たしたフランクリンは、自分の再選に反対したその議員に対して、彼が所有する珍しい本を数日間貸してほしいと頼みました。本を借りることができたフランクリンは、その本を返却する際に、丁寧な礼状を添えました。
すると、その議員は次の議会でフランクリンと会った際に、非常に丁寧に話しかけてきて、その後もフランクリンを助ける姿勢を見せるようになりました。二人は親しい友人になり、その友情は相手が亡くなるまで続いたと、フランクリンは自伝で回想しています。
自分を嫌っている相手や、対立している相手に対して、私たちは自分も敵対的な行動を取ったり、遠ざけようとしたりしがちです。しかし、大政治家と言われるような人物たちは、そういう相手に対しても歩み寄りの姿勢を見せることがあります。この自分にとって都合の悪い人、不愉快な人、意見の違う人を受け入れる度量が、いわゆる器の大きさになります。
相手からしてみれば、自分の言動によって相手からも同じような言動が返ってくることを想定しています。しかし、その想定を超えた対応をするからこそ、相手の心を動かすことができます。自分にとって面白くない人や言動を飲み込める器の大きさは、人生を左右する要素の一つです。
とはいえ、相手を受け入れることと、何をされても我慢することは別です。歩み寄りの姿勢にも限度があります。特に自分に精神的な余裕がない状態で、無理に相手を受け入れ続けると、心身を壊しかねないので注意が必要です。