第26代アメリカ大統領のセオドア・ルーズベルトは、親しい友人だった博物学者のウィリアム・ビーブと夜空のアンドロメダ銀河を見上げ、自らを謙虚にする儀式を行なったと言われています。ルーズベルトは銀河について語り合った後、「よし、これで私たちは十分に小さくなった。さあ、寝よう」と言って部屋に戻ったと、ウィリアム・ビーブは振り返っています。
宇宙や自然といった大きなスケールに触れることは、自分を小さく感じることで謙虚になれたり、今まで悩んでいた問題がちっぽけに感じられて冷静になれたりするという効果があります。私たちは問題を抱えたときに、その問題を解決するしかないと思い込みがちですが、「そもそも大した問題ではなかった」と認識を改めるという搦手が役立つ場合もあります。
これを実践する上で大切なのは、大宇宙や大自然に実際に触れることです。頭の中で「もっと謙虚になろう」「自分を悩ませている問題はちっぽけな問題だ」と考えるだけでは、心の底からそう思えるようにはなりません。絶景と言われているような空、海、山、滝、川、湖などを前にして、「ああ、小さなことだ」と心に浮かんだときにこそ、その思いは効果を発揮します。
これは余談ですが、映画化されたドラえもんの長編漫画『のび太の日本誕生』では、のび太たちがそれぞれの家庭で問題を抱えて家出することを決心し、七万年前の日本にタイムトラベルをすることから始まります。
彼らはドラえもんの道具によって、誰もいない広大な土地で自由な暮らしを満喫するのですが、その結果、「こうやって大きな自然に包まれていると、小さななやみなんかどうでもよくなっちゃうわ」と思えるようになり、一度家に帰っみるということで意見がまとまります。私がこの漫画を読んだのは小学生の頃ですが、この辺りの心の機微を子ども向けの物語に織り込んでるからこそ、ドラえもんは語り継がれる名作になっているのだと思います。